僕の散歩道 (篠崎 春彦)

花園1随筆・挨拶・その他雑記

コロナ雑感 その6  僕の散歩道       篠崎 春彦

五月初旬のある日、目にしみるような若葉の薫る初夏になった。僕はいつものようにウオーキングにでかけた。今を盛りに咲き誇るハナミズキを後に、家の前の公園に入る。この公園の周囲1.2キロメーターの遊歩道は、かつて市民ランナーとして有名な川内優輝さん(現在プロランナーに転向)がトレーニングの場に使っていたところである。

公園の周りは、ボランティアの方々が花を植えたり、草刈りをしたりといつもきれいに整備されている。水辺には鴨類、アオサギ、カワウなどの水鳥いる。亀が甲羅干しをしながら水鳥と遊んでいる。最近、カワセミも見かけるようになった。                                                                                                                             動画をクリック↓

http://lschp.pro.tok2.com/shinozaki/20200510sanpomichi.html 

規模は小さいが鳥たちにとって恵まれた環境である。アヤメも咲き始めた。コロナの影響で公園の人影はいつもより、まばらである。 公園を横目に、農道とコスモス街道が僕の散歩道である。ここからは人の姿はグッと少なくなる。途中に鎮守様がある。鳥居をくぐり手を合わせ祈る。苦しいときに神頼み。コロナ禍によってにわか信者になった。

農道に入るとあたり一面の田んぼが広がる。お百姓さんは田植えに余念が無い。白鷺が餌をついばんでいる。キジが舞い降りてきた。ケーン、ケーンと鳴いて藪陰に消えていった。最近よく見かける。国鳥のキジの雄は美しい羽をもっている。蛙がケロケロとオーケストラのように鳴いている。都会では絶対に聞けない音楽である。明日は雨になるのかな。そして、「コスモスふれあいロード」に入る。鷲宮地区の中央を流れる葛西用水路沿いの両岸約10キロは秋のコスモスが有名だが初夏もまた「ポピー」が次々と可愛い花を咲かせて風情がある。

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この田園風景は僕の生まれ育った「千葉県東金市」を彷彿とさせて好きだ。ただ、関東平野の真ん中。小さな山もなく起伏のないのが、殺風景で少し不満である。(童謡 「里の秋」は僕の故郷の里山をイメージし「詩人 斉藤信夫」が作詞したとされる。)  この往復、小一時間の散歩は僕の健康管理と精神を和らげ、不安を鎮める効用が大きいようだ。騒々しいコロナ禍のさなか、一切の雑音に悩まされることなく、無我の境地で黙々と歩き続ける。このひとときが僕の至福の時間になっている。

ところで、ある人から「あなたの書き物は、葬式、お墓、認知症、断捨離など陰気くさくていけません。もっと明るく、朗らかな話題はないものでしょうかね」との指摘があった。 だが、もともと僕は、ネクラでへそまがりの「ペシミスト」である。陽気で朗らかな話は苦手な方で、時々とぼけてみたり、馬鹿な行動をとったりしているが、心の奥深くに根付く無常観は消えることがない。晩年はその傾向が強くなった。(この無常観はある意味では日本人が誰でもっている、共通の感覚かも知れないが)いまさらこの性分は変えることができない。あくまでも自分に正直に生き抜きたいものである。でも、コロナで死ぬことがあっても、自死はしない気がする。

<追悼>
世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスは、保守派の論客「岡本行夫氏」の命も奪った。混沌としている世界情勢にグローバルな立場にたって冷静な判断のできる男の死は、日本にとって失う物があまりにも大きかった。ご冥福をお祈りいたします

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